太田に両毛エリア初のフットゴルフ専用コース
鳳凰ゴルフ倶楽部で明盛宏産(桐生市)が運営
ワールドカップ出場を狙う女子選手も在籍
太田市北金井町のゴルフ場「鳳凰(ほうおう)ゴルフ倶楽部」に昨年、サッカーとゴルフを融合したニュースポーツ「フットゴルフ」の専用コースが誕生した。運営するのは砕石製造販売・リサイクル業の「明盛宏産」(桐生市広沢町五、山野井清朗社長)で、今後は同倶楽部と提携しフットゴルフ事業を展開し競技の普及に努めていく方針だ。
フットゴルフはサッカーボールをキックしながらゴルフ場をラウンドするもので世界的にも注目が集まっているスポーツ。2014年2月には一般社団法人日本フットゴルフ協会(国際フットゴルフ連盟加盟)が設立され、競技の普及活動とともにツアートーナメントも開催している。同倶楽部を運営する太田資源開発は、2018年に民事再生法の適用を申請し産業廃棄物処分などを手がける祥和コーポレーション(栃木県佐野市)の子会社として再建、ゴルフ場の新たな活用法を模索する中、グループ会社の明盛宏産が改修工事で使われていないコースのフットゴルフ場化を考えた。専用コースは同協会公認コースで両毛広域圏では初となる(ほか、群馬県内ではみなかみ町、栃木県内では小山市など3カ所)。
手がけた専用コースは通常のゴルフコース3ホール分にサッカーボールが入る直径53センチのカップを設けた9ホールを整備した。山野井社長は「気軽に楽しんでもらいたく、駐車場もゴルファーとは別の場所に設け、導線も完全に分けた。服装も比較的自由でいいと思う」と話す。フットゴルフの魅力として年齢性別問わず誰でも気軽にプレーできる点がある。同コースは9ホールとはいえコンパクトで移動も楽なので1時間程度でまわれ、大自然の中で会話を楽しみながらウォーキングにもなる。親子連れでも一緒にまわることができ、その間に日常とは違った環境でコミュニケーションを深めることもできる。父親と体験に訪れた太田市内の小学5年生は「思った以上に楽しかった。もう1周したい」と笑顔で語っていた。
同コースを活用して公式の国内ツアー大会「ジャパンツアー」も開催されるようになった。ツアーには元Jリーガーも参戦しているほか、昨年11月の大会には昨シーズンの世界ランク1位のベン・クラーク選手(イギリス)も来日し参戦、話題を集めた。今後、フットゴルフの地域の拠点として、競技の盛り上がりに注目が集まる。
フットゴルフ事業を展開するにあたり明盛宏産はツアーにも参戦する女子フットゴルファー、阿久津里奈さん(27、群馬県伊勢崎市)を社員採用した。阿久津さんは同俱楽部のフットゴルフアンバサダーとしてイベントや運営に携わるほか、プレーヤーとして今年5月にアメリカで開催されるワールドカップへ日本代表としての出場を目指している。そこには自身の夢とフットゴルフ普及の思いがある。
フットゴルフ選手が企業に採用されゴルフ場関係で働くのは海外ではあるが、日本では初の試みという。「日本フットゴルフ界が発展していく中で、大きな一歩となるモデルケースになるよう精一杯活動していきたい」。仕事では広報活動やさまざまなイベントを企画開催しフットゴルフに親しめる「普及活動」も行う。そんな傍ら、競技者としてのレベルアップにも余念がない。世界トップという目標を掲げると同時により多くの人にフットゴルフを知ってもらうには女子選手の活躍が果たす役割も大きいと考えるからだ。昨年10月には初の海外遠征でオランダの大会に参加し、4位入賞。世界レベルの感覚の経験を積んできた。5月に迫るワールドカップの日本代表選考にはジャパンツアーでのポイントランクが大きく関わる。2022年12月現在、順位は2位につけており2月に開かれる日本代表候補強化トレーニングに参加できる女子選手4名にも入り、夢の実現に一歩近づいた。阿久津さんは「日頃から応援してくださる方々に結果で恩返しをしたい。ワールドカップに向け、まずは残りの試合を全勝優勝できるように、日々取り組んでいきたい。」と抱負を語っている。
文/松本純明
渡良瀬通信2023年2月号掲載
明盛宏産株式会社
群馬県桐生市広沢町5丁目4714
Tel 0277-52-6795
フットゴルフのほか、栃木県小山市で釣り堀やグランピング事業も手がける。