バレーボールの新たなトップカテゴリーとして再編された「大同生命SVリーグ」が開幕、女子に参戦する群馬グリーンウイングスにとっては対戦するすべての相手が格上の過酷な新シーズンが始まった。積み上げてきた自分らのバレーでどれだけ存在感を示せるか。その挑戦は始まったばかりだ。(文・写真 松本純明)
目標は8強以上。立ちはだかる壁を突破し存在感を示せるか。
SVリーグ女子には14チームが参加する。対戦相手13チームのうち、12チームはVリーグ1部(V1)からの参戦で、残りの姫路は昨年のV2優勝チームでV1経験もある。トップカテゴリーでは戦ったことのないウイングスにとってはすべての相手が格上でハイレベルなシーズンとなる。試合数も昨季の18から44へと増え、ホーム戦も22試合と選手にとっては長丁場が続く。しかし、観客にとっては地元にいながら日本代表クラスの選手などを間近で観る機会も増える楽しみもある。
ウイングスは過酷で長いシーズンを戦い抜くために、チーム強化に取り組んできた。新リーグでは同時にコートに立てる外国人選手の枠が従来の1から2に増え、アジア枠1と合わせて最大3人となる。その枠をフル活用するために、新外国人選手3人(モルドバ、ポーランド、タイ各出身)を獲得した。ほか、日本人選手は4人が加入。中でも注目はアウトサイドヒッターで164センチながら高い跳躍力で鋭いアタックを決める高相みな実。昨季までV1のPFUに在籍しキャプテンも務めていた逸材だ。3年目の指揮を執る斎藤真由美ヘッドコーチ(HC)はこれまで「全員バレー」を掲げ、レギュラーやポジションを固定しない方針を貫いてきたが、今季は各チームが外国人選手を増員してくることも視野に「ある程度は固定する考えもある」と話している。しかし、長いシーズンを考えると誰が出ても大丈夫なチーム全体としての全員バレー、全選手のレベルアップが不可欠だ。今季の目標はプレーオフに進出できる8強以上でスローガンは「BREAK THROUGH」。目標達成に向けて躍動しどれだけ培ってきた自分たちのバレーで存在感を示せるか注目したい。
開幕は4連敗スタート。斎藤HC「最後に決めきることが課題」
新リーグ参入開幕節は10月14日と15日、桐生ガススポーツセンター(桐生市民体育館)で開催された。Astemoリヴァーレ茨城を相手に初日は0-3、2日目は1-3と敗れた。念願のトップカテゴリーリーグでの挑戦は連敗スタートとなった。
初日、会場には1109人の観客が詰めかけ熱気に満ち、スモークや照明効果による選手入場などの演出もあり、トップカテゴリーならではの雰囲気に包まれた。試合は第1セットの接戦を26-28で惜しくも落とすと格上の相手にペースを持って行かれセットカウント0-3とストレート負けを喫した。2戦目は第1セットを失うも第2セットは外国人選手などの攻撃力で流れを変え25-20で初めてのセットを奪取、しかし、その後は大事なところでのミスもあり相手にペースを奪われて1-3で敗れた。
斎藤HCは「自分たちのコンビミスなど自発的なミスで相手にペースを与えてしまった」と振り返っていた。
第2節は10月26日と27日、大泉町のいずみ総合公園町民体育館で埼玉上尾と戦い、初日は0-3、2日目は1-3と敗れ4連敗となった。日本代表選手を擁する相手に対し、初戦は今季初めて外国人選手3人を先発起用、各選手が爆発力あるプレーを見せながらも要所でミスが重なり点差を広げられストレート負けした。2戦目は互角に渡り合う場面も多く増え、第2セットは23-25と惜しくも落としたものの、第3セットは逆に25-23と奪い返した。しかし、やはり勝負どころでの粘りなどは相手が一枚上で経験値の差を感じさせた。斎藤HCは「最後に決めきることが課題。試合を経験して選手たちは学び成長できている」と語った。
PROFILE
齋藤真由美(さいとう・まゆみ)
1971年生まれ、東京都出身。
中1からバレーボールを始め、名門の中村高1年時にインターハイ3位入賞。1986年、高校を中退し、イトーヨーカドーに入団。1990年日本リーグで優勝し、最高殊勲選手とベスト6を受賞、その後、交通事故によるケガで6年半離脱、1997年、ダイエーオレンジアタッカーズに移籍しVプレミアリーグ連覇。最高殊勲選手、ベスト6を受賞。1999年、東北パイオニア(後のパイオニアレッドウィングス)に移籍。2000年、V1リーグ優勝に貢献、2004年、現役を引退。日本代表としては、1989年ワールドカップ(4位入賞/敢闘賞)、1990年世界選手権、1991年ワールドカップに出場。現役時代の愛称は「マッチョ」。