足利市相生町に残る貴重な近代化遺産の旧足利盲学校(旧相生幼稚園)の建物を地域の新たな文化拠点として保存活用を進める「ドットエー」プロジェクトの第2弾として写真展「故郷の記憶を辿(たど)る」が7月20日から、同建物で始まる。大正から平成初期までの足利の光景を切り取った貴重な写真の数々が展示される。
今後プロジェクトを展開していくうえで、旧足利盲学校の歴史の調査や資料収集を進めていたところ栃木県立盲学校(宇都宮市)で旧足利盲学校のアルバムが見つかり、これをきっかけに写真展を企画。同県内の視力障がい者教育に尽力した沢田正好が1931年に現在地に新築した旧足利盲学校の歴史を起点に織物生産で隆盛を極めた時代、高度成長期、そしてバブル期までの足利の姿を約200点の写真や書籍で紹介する。
同プロジェクトリーダーの速水一樹さん(28)が企画を担当し、市内の料亭や酒店、喫茶店、美容院、自転車店、寺院などを回り、それぞれが体験した時代を取材、写真を始めとした資料収集を進めてきた。「私たちの世代が知らない足利の姿なので写真や資料はとても新鮮に感じ、常に新しい発見があった」と速水さん。
展示は建物1階のスペースを利用し、過去の写真と現在の写真を対比させるなどの工夫を凝らして来場者にみせる。開催期間中は建物修復費用に充てるためにつくったオリジナルグッズの販売も行う。速水さんは「写真展を通じて足利の歴史を感じたり、より地域に関心を持ってもらえるのでは」と期待する。
「足利に現存する貴重な建物を残したい」と市内のアパレル企業・KNITOLOGYが昨年10月末に建物、敷地を取得。保存活用を進めるプロジェクトを立ち上げた。
同展は8月4日まで足利市相生町385の旧足利盲学校で。開催時間は午前11時から午後5時。会期中7月25、26日と8月1日は休館。入場無料。
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