あなたの支えは、誰かの笑顔。
今、この記事を読んで下さっている読者の方、今何時頃でしょうか?昼間の方もいれば、朝方、夜、夜中の方もいるのかも知れません。
どの時間帯にしろ、今現在仕事中の人、今この瞬間にまさに身支度をして仕事に向かう人、今ちょうど仕事から帰って来た人、まだ布団の中で眠りの中疲れを癒している人がいます。
先日、東京で大事な仕事のミーティングができた為、急遽航空券をとって数日間だけの一時帰国をして、今また台湾に帰って来ました。
帰国するにあたり、後ろのスケジュールとの兼ね合いもあり今回羽田空港から朝5:00出発の台湾行きの便に乗って帰って来ました。
国際線なので、朝5:00出発と言うことは2時間前の夜中3:00に空港でチェックインをしなければなりません。
こういった状況の上、僕自身色々と年明けの撮影に向けてやらなければいけない準備が山積みだった為、今回終電で深夜12:00頃羽田空港に到着して、ロビーの椅子で3:00まで仕事をしていればいいやと言うことで初めて羽田空港で一夜を明かしました。
因みに色んな方に聞かれたのですが、空港は24時間、開いています。僕と同じように飛行機を待つ外国の方も結構いますし、スタッフの方も働かれていますから深夜の空港は昼間に比べて照明も少し落とされて静かではありますがそれなりに人がいます。Wi-Fi に充電スペース、トイレも通常通りですので語弊があるかもしれませんが飛行機を待つには「快適」です。
そんな訳で、3時まで仕事をしてチェックインし、5時の飛行機に向けてゲートに行きました。
その際、こんな風景が目に入ってきました。
ゲートに着いてもまだまだ明け方の時間帯ですから、これから同じ飛行機に乗る乗客の方も席で寝ていたり空いている椅子で横になっている人もいます。
そんな朝の空港の静寂の中、こんな音が聞こえてきました。
「カシャンッ。カシャンッ。カシャンッ。」
これはみんな起きてしまうのではというギリギリの大きさの音とリズムだったので、「何だろう?」とそちらに目を向けました。
照明が少し落とされた空港出発ゲートの自動販売機前。
そこに販売機の手前が開かれ台車に乗った段ボールから、在庫が減った種類ごとに商品を一本一本、手で補充している飲料会社の人の姿がありました。
「カシャンッ。カシャンッ。カシャンッ。」
一本、また一本と段ボールの中から横向きに握られた商品がリズミカルに自動販売機のお腹の中に滑り込んで行きます。
僕たちは普段、自動販売機で商品を買う時お金を入れてボタンを押せば必ず欲しい商品がガシャンッと出てきますよね。
普段生活していると気にも留めませんが、自販機の中に必ず常に商品があるという疑いもしない日常の裏には、こうして世界が緩やかになっている時間に前の日から新しい今日に向けて世界を補充してくれている人たちがいます。
今回は飛行機の待ち時間でしたが、普段とは違う時間に自分が動いている事で、この世の成り立ちの秘密をこうしてちょっぴり覗き見する瞬間があります。
普段見ない世界は学びでいっぱいです。
ふくち ゆうすけ
1984年足利市生まれ。俳優。
20代を東京、欧米で過ごした後、独学で中国語を修得。現在台湾、シンガポール、中国、日本を拠点に活動、その各国に主演作品を有している。近年、自身の水彩画やエッセイなどの創作が注目を集め、書籍出版や連載、講演等の依頼へも積極的に参加している。
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