7月1日『顕神の夢』展の内覧会にて、足利市立美術館次長 江尻潔さんに本展について話を聞いた。
新型コロナ感染症、ロシアのウクライナ侵攻、さらに数々の自然災害に見まわれるなど、現在世界は混沌としている。まるで現状を予言し、救いを求めているかのような企画だが、構想のスタートはいつ頃だったのか。
「今回の展示は、2014年に開催された『スサノヲの到来ーー いのち、いかり、いのり』展の後直ぐに、8年以上前から動き出していました。3.11辺りから人を大切にせず、世の中の優先順位が何かおかしいと感じていました。」
この展示を通じて、江尻さんが伝えたいこととは。
「この世の中、もはや人間だけではコントロールできないと考え、根の部分、即ち原点である『神』の力が必要なのではと思い至りました。我々がこの時代をどう乗り越えるかのヒントにもなると。神を表現するとき、宗教は限定的すぎます。宗教以前に存在していた『芸術』を通し、人間としての道を考え直して欲しいと思いました。」芸術はある種の予言であるという江尻さん。
「それぞれの作品から作者が体感した、神の声や姿を感じることができます。私としては本展を通じ、人間も捨てたものじゃないと思えてきたのです。」
神は我々に何を伝えようとしているのか。