通訳との二刀流、磨いた適応力。「チームを支えて勝ちにつなげたい」
初のチャンピオンシップ(CS)進出を目標に掲げシーズンを戦うサンダーズにあって、チームの成功のために非常に大きな役目を担う1人が今季から就任したマネージャー、藤野梨早さんの存在だ。
未経験からマネージャーの世界へ。経験を積んだ臨機応変さとスピード感
スポーツ関係の栄養士を目指して進んだ東京健康科学専門学校の在学中にプロバスケチームのマネージャーの仕事に出合った。実習として参加したB1富山の関東遠征時にベンチワークの手伝いをさせてもらい、翌年にも東京EX(現B3横浜EX)の練習や試合を手伝った。「いつか自分もこの場所で働きたい」。漠然としながらも素直にそう思った。栄養士として企業に内定をもらったが、夢を追いかけて富山に希望を伝え採用された。
マネージャーの仕事は多岐にわたる。試合当日はボトルやタオルなどのベンチセッティングから練習補助、試合中はチームや選手のスタッツ入力など、練習日は準備から練習管理、後片付けととにかく忙しい。ほか、練習スケジュールの作成や遠征に伴っては移動手段やホテルの予約、練習する体育館の確保に加え予算の管理、これにユニホームやタオルの洗濯なども入ってくる。コーチと選手の間に入り、コート内外で動きチームが円滑に目標に向かえるよう、たゆまぬ努力が要求される。バスケ経験は小学生の時、1年だけのミニバスのみ。まったくの未経験からのスタートに「バタバタの連続、とにかく大変だった」と富山時代を振り返る。その後、広島、越谷と渡りマネージャー6年目となる今季、サンダーズのマネージャーに招聘された。
これまで培った経験からマネージャーに必要な要素は「臨機応変さとスピード感ですね」ときっぱり。「遠征先での練習場やミーティング会場の変更など現場で常に発生する問題を問題でないようにスピード感をもって対応できればバッチリ」と明るくさわやかな笑顔にゼロから積み重ねてきた自信が輝いた。
通訳として外国籍選手の声を発信。「単純に勝ったらうれしい」
通訳として外国籍選手の声を外部に発信する役目も担う。マネージャーとの二刀流は珍しいケースだ。会見や取材対応では流暢な英会話で選手とコミュニケーションを図り、その言葉、ニュアンスを見事に表現する。この英会話力は挫折から独学で身につけた。「2歳から18歳まで週1回で英会話のレッスンを受けていたが英語に関わらない時期が何年もあり、富山でマネージャーになった時はまったく忘れててしどろもどろで」。その悔しさを打開すべく、日本のテレビ番組を見ることをやめ、動画視聴サイトで英語の映画や番組だけを見るようにした。音楽を聴く時も英語の曲だけを流し耳を英語に慣らした。「分からなくてもとにかく、英語でしゃべることも心がけました」。子どもの頃からの基礎もあり、約半年過ぎたあたりから会話もスムーズになってきた。その習慣は今も続けている。「もう、英会話で怖いものはないです」。
「単純に勝ったらうれしい」と仕事のやりがいを話す。「指導者のように直接的に勝利につながる仕事ではないが、チームを支えて結果として勝ちにつながれば。CSに出たことはあるが、このチームでもう一度あの舞台に行き、勝ったことのないクォーターファイナルで勝利したい」。
PROFILE
藤野梨早(ふじの りさ)
1996年。東京都出身。テンプル大学ジャパンキャンパスー東京健康科学専門学校。2018-20富山グラウジーズ(マネージャー)、2020-22広島ドラゴンフライズ(2020-21アシスタントマネージャー、2021-22ヘッドマネージャー)、2022-23越谷アルファーズ(マネージャー)、2023-群馬クレインサンダーズ(マネージャー)
GUNMA CRANE THUNDERS News
群馬クレーンサンダースニュースでは月に1回桐生タイムスの記者による取材記事を掲載しています。
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