栃木県伝統工芸士に「足利の金彩工芸」で認定された足利市八幡町の金彩工房粋宝苑社長の野口雅宝(本名・晶彦)さん(59)が3月25日、足利市役所に早川尚秀市長を訪ね、認定の報告した。同工芸士は足利市で8人目で、繊維関係以外では初めて。
金彩工芸は室町時代に中国から伝わったとされ、安土桃山時代に現在へと続く、技法が確立された。作品は金や銀の箔、金属粉を使い、多彩な色合いで着物や屏風を装飾する。22歳で父親の経営するノグチ染芸に入り、着物のデザインを手掛けたのち25歳で金彩工芸の道に。手掛けているのは主にひな人形や五月人形を美しく飾るのにかかせない屏風。また、最近では金彩を施した御朱印帳も製作し、こだわり装丁が人気を集めている。
表敬訪問では早川市長に同工芸の歴史や技法、デザインなどについて説明。市長も興味深そうに作品を鑑賞していた。野口さんは「どの伝統工芸も継承には苦労していると思います。やはり売れないことには継続も難しいと思います。伝統工芸士に認定されたからには、SNSなども使用してまずは多くの人に金彩工芸を知ってもらい、興味を持ってもらう取り組みを積極的にしていきたい」と話していた。
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