足利市通二丁目の足利市立美術館で開館30周年記念のコレクション展2024が開かれている。「南画 憧れた景色へのかけ橋―大山魯牛を中心に―」と「前衛のかなたへ 浅川コレクションと現代の美術」の2本立てで同館の所蔵品を中心に展示している。
南画は中国から入ってきた南宋画や文人画を日本風にアレンジしたもので江戸時代後期から幕末にかけて流行したが、明治時代に衰退。この危機を乗り越えようと努力したのが足利の田崎草雲(1815―98)らで、その孫弟子にあたる魯牛(1902―95)は抽象画の要素を加えることで危機を脱しようとした。
足利で創作活動を行った魯牛の展示では初期から晩年までの作品を紹介。抽象画の要素を取り入れた作品を生み出すまでの試行錯誤、苦闘の様子が分かる構成となっている。また、南画の精神を受け継ぐ現代作家の作品も紹介している。
「浅川コレクション」は、1950年代から半世紀以上、画商として近・現代美術の展覧会企画や作品売買に携わってきた浅川邦夫さん(1932―)が94年の同美術館開館時に寄託した721点の作品とその後も寄贈を行った作品を含め約900点にも及ぶ。現在は赤瀬川原平や阿部浩、清水晃などの未公開作品を中心に展示。5月28日に作品の入れ替えを行う。
同展は6月30日まで(月曜休館、ただし4月29日と5月6日は開館し翌日休館)、観覧料は一般710円、大高生500円、中学生以下と両毛広域圏在住の65歳以上など無料。6月8日の午後2時から学芸員によるギャラリートーク、5月19日午後2時から鑑賞ワークショップが行われる。申し込み不要。
問い合わせは同館(TEL 0284-43-3131)へ。
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