足利市相生町に残る貴重な近代化遺産の旧足利盲学校(旧相生幼稚園)の建物を地域の新たな文化拠点として保存活用を進める「ドットエー」プロジェクトで5月5日、子どもや家族連れを対象のメーンとしたイベント「アソビバ!」が開かれた。この建物が活用されるのは約30年ぶりで、かつての校庭、園庭は子どもたちの元気な声が響いていた。
同建物は栃木県内の視力障がい者教育に尽力した沢田正好が1916年に開校した鍼灸按講習所を母体に31年に現在地に校舎を新築し、私立足利盲学校として発足。35年に県立足利盲学校となった。その後、盲学校が宇都宮に移転。50年から相生幼稚園となり、93年まで使用されていた。未利用となった後は、その保存活用を含め、その行方が注目されていた。
「足利に現存する貴重な建物を残したい」と市内のアパレル企業・KNITOLOGY(鬼久保綾子代表)が昨年10月末に建物、敷地を取得。保存活用を進めるプロジェクトを立ち上げ、不要建築物の撤去、建物内の清掃、庭の整備などをこつこつと進めてきた。
今回のイベントは建物内の清掃作業の際、園児の手書きと思われる長さ約6㍍のこいのぼりを発見したことがきっかけ。「せっかくなので活用したいという思いと、こうした建物があるということを多くの人に知っていただくため、プロジェクトをスピード感を持って進めていきたい」(鬼久保代表の話)と知り合いに協力を依頼し、早い時期でのイベント開催を実現させた。
当日はバルーンショー、紙芝居、ライブペインティング、幼稚園時代の昔のおもちゃで遊べるコーナー、駄菓子屋、飲食物の店が並んだほか、建物1階部分の公開、ドットエーのオリジナルグッズ販売も行われ、家族連れを中心とした来場者は思い思いに楽しんでいた。また、多くの卒園者が「懐かしい」と足を運んだほか、栃木県立盲学校関係者も視察に訪れ、熱心に見学していた。ドットエープロジェクトメンバーは「多くの人に来場していただき、ありがたい」と初イベントの成功に満足した様子。
今後も旧盲学校時代に焦点を当てたイベントや多くの人に同所を知ってもらうためのイベントや事業を進めていく考えだ。
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