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若杉実の裏口音学 Vol.115

2024 7/02
裏口音学
2024年2月5日2024年7月2日

“裏” 百景

 派閥パーティの裏金事件で大荒れの政界。こういう出だしもいいかげん飽きたが、国民の大半がそれでも静観しているようにみえるほうがもっとあぶないだろう。
 国への諦念を意味するその目は、別れたオトコを見下すオンナのそれに似ている。浜田金吾の「裏窓」(1981年)が描く粋筋に、派閥政治の成れの果てを重ねあわせるのはいけないだろうか。
 歌のオンナは裏街がみえる部屋で暮らしている。窓からはいつものオトコがみえ、反対にそのオトコは窓に映るオンナをいつも眺めている。歌詞の舞台装置はそのように相互的で、“裏”を固定しない。
 ある日ふたりは関係をもつ。部屋のシーツがタバコの匂いに変わり、オンナはオトコの中(こころの窓)にまで入りこむ。やがて匂いは甘い葉巻のそれに変わり、オトコの異変に気づく。その異変に気づかれたことに気づいたオトコはオンナのまえから黙って立ち去る。いつもの匂いを最後に残して……。
 示唆に富む歌詞(伊藤アキラ)が聴き手の想像力をかき立てる。最後に匂いがもどっていたのがキーだろうが、どう考えてもここだけは読めなかった。行間のある歌ではあるが、抽象的すぎるわけでもなく、説明になってしまうところもあるーー「〽︎ある日急にあなたは趣味が変わり……」。
 それでもあらゆる絵を引き出してみせるのは、男女の微妙な距離感を好個の伴奏がみごとに描写しているから。主語を消し詞の世界を見守り、淡いエレピが朝のカーテンとなって時間の流れを知らせる。“夜とおとなの都会の案内人”こと浜田の面目躍如というほかない。
 ある世代にとって「裏窓」といえば浅川マキの同名異曲(1973年)になるのだろうが、浜田のほうを味到したあとではいささか物足りない。男女の色模様がここでもうたわれているが、人代名詞を用いず、俯瞰しながらの一方向的描写のため遠近感を欠く。それを枯淡の境地と呼んでやるのも寺山修司(作詞)あっての形容だろうが、いまにして聴けば、闇の女王という異名をわすれさせるほど平坦な印象を受けた。
 そもそも比較するものではない、という身も蓋もないことをひとまず横に置き、作者の意図を分別すればこうなる。寺山は浅川の表現力を信じ余白を書いた・・・。対し、伊藤アキラは浜田の構成力を信じ余白を省いた・・・。ブルース~ジャズの資質にアドリブをもとめた前者に、フォーク~ロックの資質に伴奏とのコントラストをもとめた後者、とも別言できる。
 シャレをいうつもりはないが、浜田金吾そのものが“浜田省吾・・の裏”ともいえるのかもしれない。同い年で、同系のフォークロック・グループで同年(1974年)にデビュー。ソロに転じるのは省吾が先だったが、金吾にしてみればそのぶん我が道、いわば裏道に進みやすかったともいえる。ただし、例のシティポップで近年立場が逆転したようにもみえるが。
 それでも人生のA面をすすんで謳歌するような歌手ではない、という点では双方のベクトルはおなじ。仮に、海沿いにクルマを走らせ山下、角松を流す勇気はなくても、W浜田ならそのハードルをすこしだけ下げてくれるような気がする。

SUPER CUTE PUPPIES
「Kooikerhondje」
(Not On Label)

浅川マキ
「裏窓」
(Express)

同名のアルバム(1973年)からの先行となった通算7枚めのシングル。歌の枠を越えシアトリカルに創作力を研磨、独自の美意識を放ちつづけた。アルバムの装丁がその象徴となって、しばらくは黒(モノクロ)で統一。強固な意志として、あるいは色を概念化させたという意味では、シャネル、川久保玲に伍していい。浜田との詞の共通点は最後に別れがやってくること。永田町のパリピもそうやって退場してくれればいいのだが。


プロフィール
わかすぎ みのる:足利出身の文筆家。 CD、DVD企画も手がける。 RADIO-i (愛知国際放送)、 Shibuya-FMなどラジオのパーソナリティも担当していた。 著書に『渋谷系』『東京レコ屋ヒストリー』 『裏ブルーノート』 『裏口音学』 『ダンスの時代』 『Jダンス』など。ご意見メールはwakasugiminoru@hotmail.com

裏口音学
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