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キムチ
年末は大掃除やおせち作り、帰省などと忙しい方が多いと思うが、私はわりと時間が余る。掃除はするが、おせちは食べる習慣がないので作らない。雑煮はこだわりのある夫が担当し、普段から頻繁に戻っている東京の実家は、わざわざこの時期には帰らない。
代わりに花屋の友達が前もって刈り取った我が家の田んぼの青稲を使って正月飾りのしめ縄を作りにやって来る。ついでにキムチを漬けるのが毎年恒例の行事となっている。実際にはキムチを仕込むのに2、3時間かかり、最後になって慌ただしくしめ縄を編むことになる。
白菜は軽く塩漬けにしてから干したり、塩水にくぐらせたりと毎回工夫している。アミやイカの塩辛、牡蠣、梨やりんごなど、その年によって具材も変えて作っている。友達は匂いが付くくのでジップロックの中で発酵させるが、私は以前ソウルの民俗村で購入したオンギという蓋のある甕に漬けている。オンギは高さ一メートル以上のものもあるが、私のは25センチくらい。ぐるぐると梱包材で巻き、リュックで背負って飛行機に乗ったのを覚えている。
私はしっかり漬かったキムチよりフレッシュなほうが好きなので、漬けてから数日で食べ始める。白菜らしさが残っており、酸味もなく、食べやすい。ちょっと漬かってきたな、と思ったらチャーハンや、鍋に入れて楽しみ、一ヶ月ほどで食べ切ってしまう。というより、それ以上は残ったことがない。
塩見 奈々江
しおみ ななえ/1983年東京都渋谷区生まれ。幼児期をイタリア、イギリスで過ごし大学進学でフィレンツェに渡り10年間暮らす。 現在は足利市の里山と東京の2拠点で暮らしながら、展示会やネットなどでヨーロッパの古道具を扱うBAGATTOを営む。
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